第16回「書の楽しみ」 石田雲鶴 氏
⽩と⿊に魅せられて、余⽩と⽂字が織りなす世界
[書道家]⽯⽥雲鶴 氏
平成26年3月14日午後6時30分からサルーテで第16回『楽しく真剣!「サルーテ文化講座」』が開催されました。司会の角秋勝治氏の講師紹介を経て書道家・石田雲鶴氏の講演がスタート。石田さんは参加者から二字熟語を募集。「静寂」、「優秀」を縦書き、横書きで執筆。気迫溢れる仕草に全員圧倒されました。講座は「道楽を極めれば、極道になる」などのジョークを交え和やかな雰囲気に溢れていました。参加人員は87人。
初めに、パフォーマンスと題して、参加者の前で実際に書を実演されました。一つの作品が出来るまでに、プロセスとしてまずは辞書を引き、草書体・行書体・縦書き・横書き等何枚もの組み合わせを書いて作品が出来上がる過程を見ることができました。書道家が気合を入れて書く様子を目の当たりにする機会は珍しく、参加者は立ち上がったり、近くで囲って見入ったり、講演会としては珍しい光景となりました。
その後、自らを「私は主婦」と評しながら、学問としてではなく芸術を極め続ける書道家として、自分の好きな道を突き進む77歳人間石田雲鶴を素朴な口調で語られました。
講師の⽯⽥雲鶴 氏
そのこだわりは、黒と白の世界に魅せられて要白・余白と黒い文字が織りなす紙面の美しさへの探求にある.『書は白黒で華やかさがなく冷たい感じがするが,私は暖かい書が書けるようになりたいと思っている。文字に表情を付ける心を入れるその営みを一生懸命やっている。
やり直しのきかない一発勝負の線を紡ぐ構築する仕方が全体完成の良し悪しに大きく影響するのです。文字の造形を崩して書けるだけのセンスが必要』と力説。
父に「一つすぐれたものを持つ事が大切」と教えられ、幼い頃は新聞紙に黒くなるまで何度も重ね書きをし、書に親しんでいた。中学になって初めて書の基礎を学び新しい世界を感じる。
本格的にその道に入ると、良い先生の展覧会に行っては、その技術や感動した部分を自分独自の書に加えていった。
上手くなるには、ひたすら繰り返し書く、が持論。
最後に「手が動く限りは、人を感動させる書が書けるよう、今後も精進していきたい。」との抱負で結ばれました。
「1作品について最低10枚は描きます。作品に依り縦書き、横書きを描きます」
「作品にする⽂字を辞書で調べ、理解を深める」
「静寂の縦書きと横書きです。この作品は構図、バランスとも縦書きが良いと思います」
「道楽を極めれば、極道ですが、⼿が動く限りは、⼈を感動させるものが書けるよう、精進していきたい」
■⽯⽥雲鶴 ⽒のプロフィール
- 鳥取市に生まれ。中学一年で西山鶴洞に出会って書に向かう姿勢を鍛えられ、次いで尾崎邑鵬の直弟子として「たおやかな線貨の妙」の薫陶を受ける。
- 77年、毎日展初入選。88年に読売書法展特選、95年に同展大賞。99年、日本書芸院展で史邑賞89年に日展初入選2001年に山陰初の特選04年に再度特選で09年に日展会員となり、「女性にも漢字の世界の門戸を開いた」といわれる。
- 02年、鳥取市文化賞。13年、鳥取県文化功労賞知事表彰を受ける。鳥取書道女流選抜展が10 周年を迎える。
- 読売書法展常任理事・審査員。日本書芸院薫事・審査鼻。全国書美術振興会評議員。書道研究由源社総務、鳥取由滞京の会会長。鳥取県書道連合会常任理事、鳥取書道連盟副会長。県展審査員。市展運営委員・審査員。
過去の文化講座
平成27年度
- 第21回「ふるさとを歌う」 西岡恵子 氏
- 第22回「15歳からの陶芸」 河本賢治 氏
- 第23回「演劇 –映像と見せ物の時代の中で–」中島諒人 氏
- 第24回「抽象と想い」 藤原晴彦 氏
- 第25回「自然によりそって」 森田しのぶ 氏
平成26年度
平成25年度
- 第11回「ふるさとの環境運動」土井淑平 氏
- 第12回「人形に思いをこめて」安倍朱美 氏
- 第13回「『源氏物語』の魅力」中永廣樹 氏
- 第14回「自然はおもしろい」清末忠人 氏
- 第15回「童心を描く」 佐藤真菜 氏