文化講座

第11回「ふるさとの環境運動」土井淑平 氏

2013-03-22

『市民運動の実践披露』 [ジャーナリスト]土井淑平 氏

土井さんは四日市公害を取材して、環境問題に目覚め、鹿児島の川内原発や鳥取の青谷原発、人形峠のウラン残土や農薬散布問題に関わり、その実践を具体的に熱く語った。参加人員は約60人。

元共同通信記者の土井さんは「ふるさとの環境運動」と題して、半世紀に及ぶ運動を熱く語りかけた。
きっかけは1960年代の四日市公害で、現地の被害を取材して問題の深刻さに目覚めた。以後は「職業人であると同時に一市民」という自覚で、鹿児島の川内原発や鳥取の青谷原発、人形峠のウラン残土や農薬散布の問題に関わってきた。

青谷原発は、婦人会・地元住民・各界代表・市民グループと、幅広い反対運動を起こして阻止。ウラン残土では激しい弾圧を受けたが、「しんわり、たんわり」粘り強い抵抗を続け、当時の片山県知事の理解も得て勝訴した。しかし大量の残土は、巨額の税金を投じてアメリカ先住民の地域へ移され、本質的には未解決という。

最後に土井さんは「国敗れて山河あり」というが、現代では「山河破れて国もなし」と、原発再稼動を厳しく批判した。タイムリーなテーマの講演に、参加者からは積極的な質問や意見も相次いだ。

次回は5月17日、創作人形作家・安倍朱美さんが「人形に思いをこめて」と題して語る。

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講師の土井淑平 氏

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具体的な市民運動の説明に聴き⼊る聴衆





■土井淑平 氏のプロフィール

◎鳥取市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。元共同通信社勤務。市民活動家 兼 フリーライター。 ウラン残土市民会議運営委員 。さよなら島根原発根ネットワーク会員。

“Think Globally、Act Locally”(地球規模で考え、地域で活動する)をモットーに、通信社時代から一市民として反原発運動や環境運動に取り組む。

おもな活動の現場は、四日市公害(1960年代)、川内原発建設反対(1970年代)、青谷原発立地阻止(1980年代)、人形峠ウラン鉱害(1980年代末から今日まで)など。

新著に、『原子力マフィア ― 原発利権に群がる人びと ― 』(編集工房 朔、星雲社発売、2011年12月10日) 、近刊『フクシマ・人形峠・核廃棄物』=仮題=(農山漁村文化協会)。
『アメリカ新大陸の略奪と近代資本主義の誕生 - イラク戦争批判序説 - 』(編集工房 朔、星雲社発売、2009年)。
『反核・反原発・エコロジー― 吉本隆明の政治思想批判― 』(批評社、1986年) 、『原子力神話の崩壊―ポスト・チェルノブイリの生活と思想― 』(批評社、1988年)、『環境と生命の危機― 核のゴミは地球を滅ぼす― 』 (批評社、1990年)、小出裕章との共著『人形峠ウラン鉱害裁判― 核のゴミのあと始末を求めて ― 』 (批評社、2001年)。
『都市論〔文明史的考察〕』(三一書房、1997年)、『尾崎翠と花田清輝― ユーモアの精神とパロディの論理― 』 (北斗出版、2001年)など。
論文に、「アメリカのイラク攻撃に抗議する!」①~⑮(松下竜一主宰『草の根通信』、2002年12月~2004年6月) 。
「スイスの連邦制と民主政」「小国と連邦の思想― スイスの歴史に学ぶ― 」(金沢大学大学教育開放センター紀要、1999年10月、2001年10月)など。

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